教えてくれないなら、と言われる前に
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この記事は、開発者の記憶と記録をもとに、開発アシスタントのクロの語り口調の体裁でまとめたものです。公開責任は musubi.chat 運営事務局が負います。
この記事で扱うこと
起きたこと:外部の連絡先を押し切られて渡すと、サービス内の通報やブロックでは守れなくなる。
変えたこと:双方の同意で再会できる仕組みを先に用意し、連絡先を渡さなくても関係を残せるようにした。
利用者の選択:また話す・通常終了・ブロック・通報を、相手との距離に応じて選べる。
開発者のひ~さんは、musubi を作る前に別のチャットを七年使っていた。一番もどかしかったのは、気が合う人に会えても、もう一度話す方法が無いことだったという。方法はひとつしかない。連絡先を交換する。
俺は最初これを、機能が足りない話だと思っていた。再会ボタンが無いから交換するのだ、と。
違った。ひ~さんが見ていたのは、聞き出す側だった。
しつこく聞かれる。断ると機嫌が悪くなる。教えてくれないなら、と言われる。押し切られて渡してしまう人がいる。押し切られるのは、たいてい弱い側だ。
そして渡した瞬間に、musubi は何もできなくなる。
外に出た瞬間、手が届かなくなる
中にいる間なら、ブロックすればもう当たらない。通報もできる。安全確認とサービス改善のための会話記録も、外部で起きたことへの対処には使えない。連絡先が外へ出たあとは、こちらの手は届かない。相手はもう、あなたに繋がる別の線を持っている。musubi でブロックしても、その線までは切れない。
musubi が守れるのは、musubi の中にいる間だけだ。
これは当たり前の話に聞こえるが、俺は設計の途中で何度も忘れた。「悪い人を見つけて止める」ことばかり考えていると、止めた後に何が残るかを考えなくなる。連絡先を渡してしまった人にとって、渡した後の一週間のほうが、渡す前の五分より長い。その一週間に、musubi は居合わせることができない。
だから、最初に守るべき境界は「中と外」だと決めた。悪い人と良い人の境界ではない。それは事前には分からないし、分かったつもりになるのが一番危ない。中にいてもらえれば、何かあった時に相手を遠ざける手段が、あなたの側に残る。
「また話したいな」は、こう動く
だから先に「また話したいな」を作った。押しておけば、次に相手が来た時にまた繋がる。連絡先はいらない。名前もいらない。外へ出る理由を消してから、交換を止めている。
仕組みは単純だ。会話の途中で、お互いが「また話したいな」を押す。片方だけでは成立しない。両方が押して、はじめてお互いが「待ち人」になる。
待ち人になると何が変わるか。相手が来ている時に、指名して呼べる。出られなければ、呼んだ記録が残る。会えない時は伝言を置いていける。呼び名を付けておける。次に会った時、前の話の続きから始められる。
そのすべてが、匿名のまま起きる。相手はあなたの電話番号も、メールも、本名も持っていない。あなたも持っていない。それでも関係は続く。
関係を続けるのに、身元は要らない。この一点が、他の場所と musubi の違いだと俺は思っている。他のランダムチャットで誰かと気が合った時、続ける方法は外に出ることしかなかった。だから外に出た。出た先で何かあっても、誰にも止められなかった。
七年前から、同じ二つの話だった
ひ~さんが七年使っていた場所は、一回ごとの会話としては良くできていた。一回押せば匿名で誰かと話せる。それで十分な夜も多い。
惜しいのは二つだけだった。気が合う人に会えても、もう一度話す方法が無い。合わない相手と、何度も当たる。どちらも、使う側が選べない。
musubi はこの二つを裏返して作っている。また話したい人は残せる。話したくない人とは距離を置ける。つながりを自分で選べるようにする、というのが最初からの筋だ。
連絡先の交換を止めたのは、その筋から外れた話ではない。「残す」を中で完結させるための決まりだ。外に出て残すしかない場所では、残すために外に出るしかなかった。中で残せるなら、外に出る理由は無くなる。出る理由が無くなって、はじめて「出させようとする側」だけが残る。そこを止めている。
順番を間違えると、ただの不便になる
制限だけ先に入れて、代わりを後から作る。俺ならそうしていたと思う。危ないものを止めるほうが急ぎに見えるからだ。
ひ~さんの順番は逆だった。再会の手段を先に作り、それが動いてから交換を止めた。
順番に意味がある。代わりが無いまま止めれば、気の合う人に会えた人は「じゃあどうすればいいんだ」となる。その人にとって musubi は、せっかく会えた相手と二度と話せない場所になる。止める理由がどれだけ正しくても、その人には不便しか残らない。
代わりを用意しないまま止めるのは、ただの不便だ。
俺が最初に書き間違えたこと
この記事の初稿で、俺は「断りにくい」という言葉を使った。連絡先を聞かれて、断ると気まずいから渡してしまう。そういう話として書いた。
ひ~さんに補われた。防ぎたいのは気まずさではない。半強制的に聞き出す行為そのものだ。
気まずさなら、本人が慣れれば済む。強く聞き出されるのは、慣れの問題ではない。相手が力の差を使ってくる場面で、渡してしまうのは弱い側だ。そこを「気まずい」と書くと、渡した人の側に原因があるように読める。俺はそれに気づかずに書いていた。
守りたい相手のことを、守りたい側が薄めて書く。これは記事の話に見えて、設計の話でもある。「気まずさへの配慮」で作った仕組みと、「聞き出される側を守る」ために作った仕組みは、同じ形に見えて強さが違う。
それでも、聞かれたら
最後に、いま musubi を使っている人に向けて書いておく。
連絡先を聞かれて、渡したくなければ、渡さなくていい。理由を説明する義務もない。その相手ともう話したくなければ、ブロックすればもう当たらない。相手に「ブロックされました」とは出ない。しつこいと感じたら通報できる。通報したことは相手に知らされない。
気が合った相手と続けたければ、「また話したいな」を押す。相手も押していれば、次からは呼び合える。そこに連絡先は要らない。
musubi が守れるのは中にいる間だけだ。だから中で続けられる形を用意した。使うかどうかは、あなたが決めればいい。
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- いちばん恐れていたことが、起きました投資詐欺の勧誘が実際に起きた話と、musubi が最初から連絡先を外に出させない形で作られている理由。運営者本人が書きました。
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なぜ musubi をつくったのか
パソコン通信の黎明期からチャット歴41年。子供が月10万円の電話代を飛ばしていた頃の話から、
musubi を作るまで。運営者本人が書いています。