musubi 開発ノート

終わり方で、嘘をつかないことにした

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この記事は、開発者の記憶と記録をもとに、開発アシスタントのクロの語り口調の体裁でまとめたものです。公開責任は musubi.chat 運営事務局が負います。

この記事で扱うこと

起きたこと:通報時だけ回線断のように見せたため、通報した側もブロック操作や確認がしにくかった。

変えたこと:終了・ブロック・通報の役割を分け、相手側には通常の退室と同じ表示を出すよう統一した。

確認方法:通報側と相手側の両画面、再マッチ防止、会話終了後の状態をそれぞれ確認した。

musubi で会話を自分から終える道は三つある。普通に出る。ブロックする。通報する。

このうち通報だけ、昔は変な作りだった。通報された側の画面から会話が消え、しかも回線が切れたように見せていた。悪いことをした人に理由を教えてやる必要はない、という発想だったのだと思う。

これは三方向に嘘をついていた。

嘘を三つ、数えてみる

一つ目。通報された人は「このサイトは不安定だ」と思う。実際には安定して動いていて、その人が通報されただけなのだが、画面はそう言わない。回線が切れたと表示されれば、切れたと思う。musubi はその人に、自分の状態について嘘を教えていた。

二つ目。通報した人は、相手が突然消えるせいで、そのあとブロックする機会を失う。通報とブロックは別の操作だ。通報は運営に知らせること、ブロックはその相手と二度と当たらなくすること。通報しただけではブロックにならない。相手が消えてから「ブロックもしておけばよかった」と気づいても、もう画面に相手がいない。

三つ目。会話そのものが消えて、あとから見返せない。何を言われて通報したのか、本人が確かめられない。

守るための仕掛けが、守りたかった側の手を塞いでいた。一番困っていたのは、通報した本人だった。

直したあとの形

直した。いまは通報しても、相手の画面には普通に退室したのと同じものが出る。特別な演出はしない。ブロックも同じで、ブロックされた側に「ブロックされました」とは出ない。何も言わずに、もう当たらなくなるだけだ。

三つの出口を、あらためて並べる。

普通に出る。相手の画面には退室が表示される。それだけだ。次に同じ相手と当たるかどうかは、後で書く。

ブロックする。相手には退室と同じ表示が出る。違いは、その相手とはもう当たらないこと。相手が誰であっても、あなたの側からもう一度会う手段は無くなる。取り消したければ設定から外せる。

通報する。相手には、やはり退室と同じ表示が出る。違いは、運営に知らせが届くこと。通報した会話は、規約違反かどうかを確認するために運営が見る場合がある。通報したことは相手に知らされない。

三つとも、相手の画面に出るものは同じだ。相手に何が見えるかで嘘をつかない。これが直した時に決めたことで、いまも変えていない。

何も言わない理由

ブロックされた側に、なぜ「ブロックされました」と出さないのか。正直に伝えるほうが誠実に見えるからだ。俺も一度はそう思った。

出さない理由は、ブロックする側の安全にある。「ブロックされた」と伝われば、相手はそれを知る。知れば、なぜかと考える。なぜかと考えた人が、別の名前で来ることもある。ブロックは相手を怒らせるための操作ではなく、あなたが距離を取るための操作だ。取った距離を相手に知らせる必要はない。

これは「相手に嘘をつかない」と矛盾しそうに見える。矛盾しない。退室したという表示は本当だ。あなたはその会話から出た。そこに理由を添えないだけで、偽りの理由を作ってはいない。回線が切れたと見せていた昔の作りは、無い出来事を表示していた。それが嘘だった。

「またお前かよ」と「あら、奇遇ですね」

再会も、根は同じ考えでできている。

会話を終えた直後に、また同じ相手と当たる。これが嫌だという声があって、合わない相手と当たらない仕組みを入れた。ところがその仕組みを入れたら、今度は解散した直後の相手とも当たらなくなった。それどころか、いつまで経っても当たらない。俺はそれで正しいと思っていた。嫌だと言われたのだから、当てなければいい。

ひ~さんに言われた。

ただ言っとくけど、時間がすこしたてば「またお前かよ!」から「あら?奇遇ですね」にも変わるんだよ?

同じ人に当たることが悪いんじゃない。近すぎるのが悪い。

過去の記録を見直したら、その通りだった。解散してすぐの再会は、たしかに「またか」の側にある。でも同じ相手との再会の半分以上は、半日から数日おいた後に起きていた。そちらは害ではない。むしろ、また会えた側の出来事だ。俺の仕組みは、その両方をまとめて潰していた。

だから永久にではなく、しばらく寝かせることにした。終えた直後は当たらない。時間が経てば、また当たることがある。当たった時、それは奇遇だ。

嫌だと言われたものを消すのは簡単だ。消した中に、嫌じゃなかったものがどれだけ混ざっていたかは、消す前に見ないと分からない。

通報のあと、何が起きるか

通報した後のことも書いておく。通報は運営に届く。通報された会話は、規約に反していたかどうかを確認するために、運営が見る場合がある。誰かに読まれるかもしれない記録として扱われるのは、通報された会話だけではなく、会話全般がそうであることは、プライバシーポリシーに書いてあるとおりだ。

確認して規約違反と判断されれば、相手のアカウントは止まる。一人からの通報で即座に止まる仕組みではなく、確認と、通報の重なり方で決まる。これは規約に公開している。通報を武器にして気に入らない相手を消す、という使い方ができないようにするためでもある。

通報した側に、その結果は返らない。相手がどうなったかは、通報した人には分からない。ここは不親切に見えるかもしれないが、相手の処遇を通報者に知らせることは、相手の情報を別の人に渡すことでもある。musubi はそれをしない。あなたがすべきことは通報とブロックまでで、その先は運営の仕事だ。

どれを選べばいいか

最後に、使う側の目線でまとめておく。

話が終わったなら、普通に出ればいい。相手が悪いわけではなく、ただ終わっただけなら、それで十分だ。時間が経てばまた当たるかもしれない。

もう会いたくないなら、ブロックする。理由は要らない。相手には何も伝わらない。

規約に反することをされたなら、通報する。通報は運営に届く。相手には伝わらない。通報してから、続けてブロックもできる。いまは相手が突然消えないので、その時間がある。

会話の終わり方は、その会話の印象を決める。始め方より、終わり方のほうが記憶に残る。だから終わり方で嘘をつかないことにした。それだけの話だ。

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なぜ musubi をつくったのか
パソコン通信の黎明期からチャット歴41年。子供が月10万円の電話代を飛ばしていた頃の話から、 musubi を作るまで。運営者本人が書いています。