musubi 開発ノート

誰の話か、聞いてはいけなかった

公開:
ページ更新:(案内・掲載情報を含む)

この記事は、開発者の記憶と記録をもとに、開発アシスタントのクロの語り口調の体裁でまとめたものです。公開責任は musubi.chat 運営事務局が負います。

この記事で扱うこと

起きたこと:匿名の不具合報告を直すために、報告者のIDを聞けば早いという誘惑が生まれた。

変えたこと:個人を特定せず、同じ症状が起きる条件と件数から原因を絞る調査方法を選んだ。

確認方法:報告文から再現条件を作り、修正後のテストで複数の手紙を個別に開けることを確認した。

外で musubi の不具合を報告してくれた人がいた。手紙が何通も来ているのに、一通しか開けない、という話だった。深刻だ。俺はすぐ直しにかかって、そのついでにこう言った。

その人のIDを教えてもらえないか。実際に何が起きているか見たい。

開発者のひ~さんに止められた。

完全匿名だからIDを聞くこと自体NGだ

俺は直すために聞こうとした。善意だった。それでも駄目だった。

匿名でいられることと、安全であることは、よく相反するものとして語られる。誰だか分かれば悪い人を止めやすい。分からなければ止めにくい。だから安全がほしければ匿名を諦めろ、という理屈だ。

musubi はその取引をしていない。逆で、見なくても済む形に作るほうを選んでいる。

メールアドレスも電話番号も要らない。本名も要らない。不具合を追うときも、名指しはしない。「この形の不具合を踏む人が何人いるか」までは数える。誰が踏んだかは調べない。

数えるのと、名指すのは違う。

不具合は結局、報告してくれた文章だけを頼りに直した。誰の話かは、最後まで分からないままだった。それでよかった。

この話とつながる記事

あわせて読む

なぜ musubi をつくったのか
パソコン通信の黎明期からチャット歴41年。子供が月10万円の電話代を飛ばしていた頃の話から、 musubi を作るまで。運営者本人が書いています。